こんにちは。じーむです。
なんと、社会人をやっています。ウケぴ。
研修医は2年かけて様々な科を満遍なくローテします。僕の場合、夏まで総合内科をローテしているので、毎日肺炎おじいちゃんとか脳梗塞おばあちゃんとかを診ています。
経験に乏しくヒューリスティックに対応できない段階での内科管理は推論の毎日です。原因を考え対応し、結果を見てまた考えます。僕の勤め先では研修医に全ての裁量が委ねられているため、やりがいがあります。
今日はその具体的方法をお見せします。
今朝話題となっていたツイートを使いましょう。
今まで出会った年収1000万以上ある男性が、仕事をしている日に昼食をとっている様子を見たことがマジでない。
— E子 (@escape_no_e_yo) 2023年4月28日
うーん、考察しがいがありますねえ。
現象を分析する
問題を解決するにあたって、現象を正しく・漏れなく把握することは極めて重要です。
今回はわかりやすいようにイラストにしてみました。
今まで出会った年収1000万以上ある男性が、仕事をしている日に昼食をとっている様子を見たことがマジでない。
すると、このツイートを「考察する」とは、「以下の点について考えること」であると具体化できるわけです。
①年収1000万かどうか(単位を含めて)
②男性かどうか
③仕事をしているかどうか
④昼食かどうか
⑤視覚があるかどうか
無論、これで全ての場合を尽くせる(ないし、真実に辿り着く)わけではありませんが、「とりあえずアクションを始める」取っ掛かりとして有用なのです。
「考察する」というのはかなり曖昧な言葉なので、具体的にどうすることなのかを明確にする必要があるのです。
洗い出した要素を組み合わせて、もっともらしい「ストーリー」を構成する
ではなぜ、この人は「今まで出会った年収1000万以上ある男性が、仕事をしている日に昼食をとっている様子を見たことがマジでない」のでしょうか。
①〜⑤の要素に注目して考えてみましょう。ここから先は完全に感覚の問題です。推論の腕の見せ所といっても過言ではないでしょう。
仮説1. ①に注目した場合
今まで出会ってきた男性の一部が仕事をしている日に昼食をとっていなかったのは事実である。しかし、彼らの自称する年収は虚偽であり、実際には1000万以下のこともあった。したがって、高収入と昼食の有無の関係を明らかにしているとは言えない。
ないし、1000万と書いてあるものの単位は明記されていないため、年収が1000万ドル(約13億円)以上の世界ではそうなのかもしれない。
仮説2. ⑤に注目した場合
ツイートの投稿者が視覚(眼・脳の機能)に障害を持っている可能性を考える必要がある。
視覚情報は
網膜→視神経→視交叉→視索→外側膝状体→視放線→大脳皮質後頭葉
へ伝達・処理される。このプロセスに問題があると、視野に障害が出てくる。
あるいは、右頭頂葉の体性感覚連合野が傷害されると、左側を認識できなくなるため、「今まで出会った年収1000万以上ある男性が、仕事をしている日に、常にツイート主の左側で昼食をとっている」ということも考えられる。
もちろん、角膜、水晶体といった前眼部の構造に障害がある場合も考えられるため、白内障といった疾患の可能性もある。
視覚が正常だと考えるなら、次のようなストーリーでも良い。
そもそもツイート投稿者の今まで会ってきた年収1000万以上の男性が透明人間という可能性もある。
あるいは、身分が高過ぎるために御簾の向こうに鎮座ましましている可能性もある。
以上のように、仮説を立てる際は現象を網羅的に分析し、考えるべきポイントを絞るのが効果的です。
これはあくまで一例なので、みなさんなりの仮説を教えてみてください。
なお、実際の業務では、その仮説が正しいかどうかを検証する作業が入りますし、仮説を外したとしても生命が保たれるような措置を取るなど、さらに臨機応変な対応が求められます。
お仕事って難しいですね。
それでは。
終わり