ぱらダイアリー

読むタイプのウンコです

「共感」能力


【共感と聞くと、日常生活における「あ、それ美味しいよね!わかる〜」とか、「あの映画のラスト悲しいよね〜」のような会話を想像する人が多いと思います。つまり、相手と同じ感情を抱くということです。


しかし、ここでいう共感とはそのような辞書的な意味ではありません。だから、タイトルの共感にはカギカッコをつけました。


僕が言いたいのは、「なるほど相手ならそういう考えをするだろう」という理解を示せる「共感」なのです。


え、何が違うかって?順を追って説明しましょう。


はじめに述べた(つまり、辞書の定義通りの)意味での共感能力というのは、万人に対して発揮できるものではありません。


たとえば音楽。「あの音楽いいよね〜」に対して「わかる〜」と共感できるのは、その人と同じような音楽を聴いてきて、好みの方向が概ね一致しているからです。


歌番組、ストリーミングサービスのヒットチャート、店頭のBGM、番組の挿入歌、そしてSNS、他にも様々な場面で皆が似た音楽を耳にしています。それによって自分の中の音楽観が影響を受けます。そういうわけで、巨視的な観点から見た好みの傾向は大体周りと同じように方向付けられるわけです。



しかし、日がな音ゲーのEDMチックなインストゥルメンタルばかり聴いているオタクを部屋から引きずり出してきて、あいみょんの『マリーゴールド』を聴かせて感想を求めたとしてもおそらく同じ感性で捉えることはないはずです。それは、音楽に関するバックグラウンドが異なるからです。


何を言いたいかというと、相手と同じ感情を抱くには、相手と同じような経験を共有して、同様の価値観を有している必要があるということです。言い換えれば、抱えるバックグラウンドが同じでなければ、共感するのは難しいということです。ほぼ不可能と言っても過言ではないでしょう。


社会人になる前のコミュニティにおいては皆が似通った社会背景を持っています。A大学に来る人たちは同様の学力で、おそらく教育水準に直結する家庭環境も似たものでしょう。B高校、C中学だって同じです。皆が流行りの曲を聴いて、流行りのテレビ番組を見て、流行りの遊びをします。


しかし、日本は身分制社会ではありません。東大を出たバリバリのエリートがアヤしい日本語を話す学のない老人相手に営業しなければならないこともあります。社会という大海原に漕ぎだしてしまえば、隣にいるのが同じ部族の者とは限らないのです。


社会人になると洗礼を受けます。
「この人全く話が通じない。どうすればいいんだ………?」
そういう場面は少なくないと思います。相手は会社の同僚かもしれませんし、窓口のクライアントかもしれません。とにかく、全ての人間と関わる可能性のある世の中ですから、自分の価値観では全く理解できない人間と遭遇することは必ずあります。


僕はここで人としての真価を問われると思っています。「コイツはわけのわからないダメなやつだ。関わらないでおこう。」とするか、はたまた「いや、彼と同じ立場に立って考えてみよう……」












僕はどちらも不適切だと思います。


前者はあまりにも寂しすぎますね。自分から可能性を狭めています。交流可能な人間の数を減らすだけです。そうやって身の回りの人間を選別していくと、いつのまにか立場が逆転しているかもしれません。僕自身もそうなのですが、精神の未熟なオタクにはこういう人間が本当に多いです。排他的な態度は他人の目にどう映るのでしょうか。


後者は無謀というほかありません。先ほどから「共感はほぼ不可能」「全く理解できない」と言葉を並べていますが、無理なものは無理なのです。昼時の客の対応に追われる店員が、しょうもないことを理由にいちゃもんをつけてきたクレーマーに対して「なるほど、僕のせいでこの人に迷惑をかけたんだな。申し訳ないことをしたな。」と思えるはずがないのです。出来ないことは出来ないという割り切りも肝要でしょう。


ではどうすれば良いか。「共感」してください。「この人はそう考える背景を持つんだ」の一言を心の中で呟くだけで良いと思います。全く理解できない存在に対して、前のめりに攻撃的になるでもなく、かといって無謀にも理解を示すわけでもなく、単に存在を認めます。そうすることで精神的に余裕が生まれます。


精神的な余裕はより良い振る舞いを導きます。それによって、あなたを見る目は良い方に変わるはずです。


もちろん、相手を理解できればそれに越したことはありません。ですから、普段から食わず嫌いすることなく様々なものに触れ、価値観を広げることは大切です。「あいみよんは聴かない」を「あいみょんは聴いてみたけど合わなかった」にするということです。


ですが、どうしても価値観の理解できない人間に遭遇したとき、その人を見限るかどうかの判断をする前に存在を認めることが出来れば良いのではないかと思います。






























というような内容の胡散臭い本あるある】
電車の広告で宣伝してる














チョコミントを歯磨き粉というやつは味障。泥水でも啜ってろ。



おわり