ぱらダイアリー

読むタイプのウンコです

「遅刻しないで」という言い分には問題がある


約束への遅刻はいけないことです。なぜなら、待たせている人間の貴重な時間をいたずらに費やす可能性があるから*1です。ですが、遅刻してきた人間に対して「遅刻して欲しくない」という意識が先んじて「次からは遅刻しないでください」と言うのは不適切です。言葉をそのまま受け取って「来ない」という対処を招く恐れがあるからです。「来ない」という選択肢は「遅刻しない」という条件を満たしていますからね。無理もありません。


厳密に「遅刻しないように来てください」とするのが必要十分な要求です。


何事においても常に十分性を吟味する必要がありますね。これと同じことが数学でも言えます。次の問を解いてください。



a^2x^2 +b^2y^2 \leq 1 \\
を満たす(x, y)がすべて
a(x -1)+b(y -1) \leq 0
を満たすような(a, b)の範囲を求め,図示せよ。



この問題は1997年の東工大・前期の大問1なので、詳しい解答を知りたい人は検索してみてください。多分、すぐ出てくるはずです。


で、この問題のキモなのですが、まず問題文をみた瞬間に

  1. 条件式でX=ax, Y=byとおき、X^2+Y^2≦1として読み換える
  2. 同様に、点の満たすべき不等式をX + Y≦a+bと読み換える
  3. XY平面において1の満たす領域(つまり円盤)が2の満たす領域に収まる(2が1の必要条件となる)ようなaとbの条件を領域図示により考察する

というのはダンゴムシでもわかりますね?わからなければモグリです。*2中学生の「負の数」からやり直しましょう。


で、この1の操作が割と問題で、X=axとおくのは良い着眼なんですが、十分性について配慮しないといけません。どういうことかというと、xからXへは1対1に対応しますが、Xからxへは1対1に対応するとは限らないということです。なぜなら、xからXへの対応を考えると、(インチキ操作ですが)x=X/aなので、a=0という特殊な場合を考えなければならないからです。


このように、変数変換は常に「復元可能」かどうかを考えなければなりません。ちょうど、
「実数x, yについてs=x+y, t=xyとおくとき、sとtが実数になるためにはs^2-4t≧0になるようなx, yではないとダメ」
と同じことです。たとえば、s=0, t=1になるようにしたくったって、これらからxyを求めると(x, y)=(i, -i)のように実数の範囲ではなくなってしまいます。(xy平面の任意の点をst平面のある点へ対応させることが出来ても、その逆は出来ないということです。勤勉な高校生にとっては卑近な例でしょう。)



まあ、とにかく言いたいのは論理には気をつけないといけないということです(は?)




















ヤバいテストが近づくほどクソ記事を書く傾向があるようです。

*1:精神面での影響を除いた場合こういう表現になるが、そもそも礼を失した行為である

*2:楕円で考察する人は変態です