⚠️はじめに⚠️
映画の感想記事です。ネタバレがあります。ダメな人は読まない方が映画を楽しめると思います。次に、これは僕の個人的な感想です。ポジティブなことも書けば、ネガティブなことも思った通りに書きます。
2021年春、僕は『シン・エヴァンゲリオン』にハマっていた。どれくらいハマっていたかというと、全部で7回も劇場に足を運んだほど。
僕は普段からクソ映画好きを公言して、前評判の悪いものは必ず劇場まで行ってお金を払って見ている。しかし、ちゃんと良い映画も好きなのだ。
「良い映画」を探す手段は、もっぱら映画館のポスターである。SNSで情報を仕入れると、それに伴って入ってくる情報がノイズになってしまう。その点、映画館のポスターは良い。キービジュアルとタイトルだけで、最も直感に近い形で作品を眺めることができる。
シン・エヴァを見に行くたびに劇場のポスターを眺め、僕はひとつの作品に目をつけていた。
『大怪獣のあとしまつ』
である。
怪獣映画の嫌いなオタクはいない。デカい生き物が大暴れしているだけで喜んでしまうのだ。
その点、『シン・ゴジラ』は最高だった。悪しき伝統と化していた怪獣プロレスから脱却し、生物災害としてのゴジラを見事に描いていた。
『シン・ゴジラ』の公開から5年、高い解像度で怪獣を現実世界に溶け込ませた映画が欲しくなる時期だった。
その意味で『大怪獣のあとしまつ』は灼熱の砂漠に突如として現れたオアシスだったといえる。「怪獣の処理」という斬新なテーマを扱っているため、従来の怪獣映画と趣が異なることは予想されていたが、求めていたものには変わりがないだろうと思われた。
もちろん、その見立ては誤りだった。
ここから先は、僕の嘆きと粗探しを垂れ流すだけである。それでも良ければ付き合って欲しい。
総評: 手の込んだオナニー
1500円払って監督のオナニーを見せつけられてしまった。いや、映画とは、えてしてそういう部分があるのだが、見せられたオナニーが床オナだった感じだ。
もう少しちゃんと言うと、とにかくふざけすぎである。そして、こんなことを言っては身もふたもないが、面白くない。
ふざけてるのに、面白くない。
まったく、陽キャの野球部員みたいな映画である。
この映画の構成要素は
- コメディ(下ネタ含む) 60%
- メロドラマ 20%
- 怪獣 20%
といった感じだ。
つまり、基本的にコメディ映画なのである。
コメディは嫌いではない。映画を見終わってからしらべて分かったことであるが、監督である三木聡はかの傑作コメディドラマである『時効警察』の監督である。たしかに、キャスティングもモロに『時効警察』の面々だった。
『時効警察』では緩いギャグが緩い世界観にマッチしていた。霧山くんのおとぼけ具合と熊本課長のオッサン具合と又来さんのキテレツ具合が絶妙なハーモニーを奏でていたのだ。
今作ではどうか。シリアスな世界観に対して緩すぎるギャグ。ツナマヨおにぎりのごとく、破滅的な相性の悪さを叩き出している。
ギャグも緩いというか、ひどい。
天丼に重なる天丼、完食できたら1万円の、特盛天丼である。下ネタのお吸い物もついてくる。
ただ、これだけならまだ良い。
問題はタイミングだ。「かます」タイミングが、見事なまでに神経を逆撫でする。
詳細は省くが、物語の後半、怪獣を処理するためにとある作戦を打ち立てる。数々のトラブルに見舞われたが、主人公をはじめとするさまざまなキャラクターの活躍によりなんとか仕掛けが作動する。上手くいくのか……?
屁
へ???????
怪獣から屁が出てオシマイである。
唖然とした。文字通り、空いた口が塞がらなかった。
本編を見ていない方には何を言っているかわからないと思うが、脚色はしていない。本当にこの通りの展開なのだ。
この作品の最大の欠点は、ふざけてはいけないところでふざけてしまったところだと思う。
多少ちょけるのぐらいは笑って許すつもりだった。しかし、いくらなんでもTPOはある。
人間、身構えていないタイミングで殴られるのが一番つらい。流石に決死の作戦の末にくっだらないギャグをお見舞いされるとは思っていなかった。全身の筋肉が弛緩している隙を突かれてしまった。
ちなみに、屁はあくまで一例であって、細かいところまで挙げたらキリがない。
他にも言いたいことはたくさんある。要素詰め込みすぎとか、オチがカスすぎとか。
でも、もうそんな元気は残っていない。僕はただ、シン・エヴァを見に劇場へ行って、ポスターを見てこの作品を見つけ、なんて面白そうな映画なんだと期待に胸を膨らませていたあの頃の僕を慰めてやりたい。
クソ映画好きの僕が嘆いているのには理由がある。
僕が好きなクソ映画は、「一生懸命作った結果生まれてしまった粗悪品」である。
全員が頑張った結果、ジューシーに実らなかった果実こそが愛おしいのだ。
「クソだったね」と笑いに昇華させてやることがズッコケた製作陣を供養する唯一の方法なのである。
しかし、これは違う。0から100までふざけている。悪意を感じた。ウケを狙っていた。
あえてひどいものを世に出すことで話題になろうとしている下心を感じたのだ。
……知っている。こんなことを言ってしまったが、誰も悪くないんだ。
監督は自分の感性に従って映画を作った。山田涼介さんや土屋太鳳さんは一生懸命に演じた。僕はお金を払った。
そう、誰も悪くない。
これで僕の『大怪獣のあとしまつ』は終わり。次に見る映画を探すんだ………
予想以上に伝わりませんでした(笑)
悪いのはコイツらです。それでは。