こんにちは。じーむです。
念願かなって、統計検定1級に合格しました!
これで学生の間にやりたかった勉強はひと通り済んだ気がします。
せっかくなので試験の対策について書こうと思ったのですが、基本的に過去問を解いて分からないところを調べるだけの作業なので、大したことはやっておりません。
そんなわけで、あまり有益なことは言えませんが、ダラダラ書きます。
統計検定1級ってどんな試験?
統計検定の一番上の級です。準1級までと違って、「統計数理」と「統計応用」の2つの試験があり、両方に受かることで認定されます。
統計数理というのは積分コンテストのことで、積分ができると受かります。
統計応用は、より実際(?)に即した問題で、受験時に人文科学・社会科学・理工学・医薬生物学の4分野があり、受験時にどれを受けるか決めます。自分の専攻に近いものを選べば良いと思いますが、インターネットで調べたところ、理工学は統計数理に内容が近いから勉強が少なくて済むみたいなことが書いてありました。ホンマ?
ちなみに、僕は当然のように†医薬生物学†を選択しました。が、インターネットでこの分野の解答を発見してくれている人がほとんどいなくて自習がつらかったです。こだわりがないのなら理工学一択かもしれません。理工学の解答ならたくさんありました。
難しいの?準1級との比較は?
数理・応用ともに5題から3題を選択して90分で解きます。準1級までとは違って記述式です。問題冊子と別に解答冊子が配布されるので、そこに答案をモリモリ書いていく感じです。
各設問ごとの難易度はともかく、試験としての難易度は難しめだと思います。合格率10〜20%くらいみたいなことを聞いたことがありますが、統計学自信ニキの80〜90%が落ちると書くとかなりすごい感じがします。
ただ、個人的には準1級の方がつらかったです。
1級は言うても数学ゲームなので、受験と数検で鍛え上げた数学筋でボコれば簡単に死にます。傾向も割とハッキリしています。要は、物理攻撃が通じるちょっとタフな敵ぐらいの感じです。
対して、準1級はデカすぎる範囲と不安定な傾向で半ば運ゲーと化しています。実際、僕の受験した2021年度は傾向がガラリと変わって大きく難化したようでした(CBTについては知りません)。
それに、1級は記述式なので部分点が期待できます。対して、準1級は記号式なのでウッカリして丸々落とすとかなりつらいです。また、1級は解く問題を選択できるため、自分の得意不得意に合わせた準備も出来ます。
そんなわけで、準1級のときと同じく余裕をもって3週間の準備をしましたが、試験の出来としては1級の方が圧倒的に手応えがありました(むしろ、準1級はなんで通ったのかいまだに分かりません)。
まとめると
- 数理と応用の2部制
- 問題は難しいけど対策はしやすい
- 数学のパワーが大切
って感じです!
対策方法
- 過去問を買います
- 過去問を解きます
- 解説を読みます
- 動画・教科書・インターネットで調べます
おわり
世の試験、だいたいコレです。
これは毎回言っていることですが、試験を効率よく突破するには
- 過去問は新しいものから(取っておくのはナンセンス)
- 教科書の通読はしない
- 教科書の演習問題より過去問
- とにかく過去問
- 考えてわからないなら解答を見て解法を覚える
これらのプロセスを徹底するだけです。
本格的な教科書を読み込めば理論を深く理解することは出来るかもしれませんが、それは試験にフォーカスした勉強ではないので、試験に受かるという観点で考えると能率は悪いです。統計検定は年に一度しか開催されないため、1回の受験を大切にしたいですよね。
意欲があってもっと深いところまで勉強したいにしても、時間の使い方としては、1級の過去問を解けるようになる→教科書を読み込むの方がスマートですよね。
また、お金に余裕があるなら不合格が濃厚でも受けることが大切だと思っています。やはり、一度会場の空気を吸ったかどうかは当日の落ち着きと大きく関係する気がします。
そんなわけで、統計検定1級を本気で目指す方はとりあえず過去問をたくさん解いてとりあえず受けてみよう!という話でした。
ちなみに、過去問をたくさん解くとは言ったのですが、公式問題集の解説がカス簡素すぎる関係で解説を読んでも分からないことは多々あります。そんなときは飛ばしてしまって構わないと思います。「これは解いておけ」みたいなやつを付録にしたので参考にしてみてください。
本の紹介
使用した本を紹介します。過去問以外の本はすべて補助教材です。解説を読んでわからないときに辞書的に使うということで、通読するものではありません。
過去問です。必須。2019〜2012まであるので、税金だと思って全部買いましょう。準1級受験者なら2014まで持っているはずなので、1冊追加するだけです。
なるべく新しいものから解いていきましょう。また、本番では選択制ですが、過去問演習をするときは解けるもんを全部片っ端から解きましょう。解説がどうしても分からないやつや、明らかにヤバいやつはスルーで良いです。
1級の公式テキストです。2013くらいから改訂されていないのと、試験で要求される以上の難しさで議論してくるのがムカつきますが、対策のしづらい応用分野を手広くカバーしているのは嬉しいです。メチャクチャ使ったわけではないですが、試験に出る範囲をザッと目を通すのに便利です。
準1級の公式テキストです。質・量ともに1級の公式テキストに比べて遥かに出来が良いです。高度な内容も扱っているにも関わらず表現が平易で、準1級受験ではもちろん1級受験でも大活躍しました。なんなら、出題範囲なのに1級公式テキストには載っていない分野もまとまっています。準1級を受験したときに活用した方は大切に持っておきましょう。
有名な本らしく、様々なブログでオススメされていますが、ほとんど使わなかったです。試験に必要なレベルを超えた詳しさで、かえって頭が混乱してしまいます。友だちに「マジで買う必要ないよ」と言われたのですが、マジで買う必要ありませんでした。マジで買う必要ないからな!
もはやこのブログは石井先生の『1冊でマスターシリーズ』の販促記事と化しておりますが、素晴らしい本です。
本に関してはこんなところです。まあ最も大切なのは過去問なので、過去問は必ず買うとして、次に買うならやはり『1冊でマスター』ですかね。この2つでギリ勝負になるレベルにはなります。ウソ、ならないかもしれません。
動画学習
わからないことがあるとき、本に手を伸ばすより先にやることといえば、インターネットで動画を探すことです。そういうわけで、僕が参考にした動画やチャンネルを紹介します。
はじめての統計学
www.youtube.com
「はじめての」と付いていますが、1級対策専門みたいなところがあります。困ったらとりあえずココを訪れるのが大切だと思います。説明もポイントを絞ってわかりやすさ重視になっていて非常にありがたいです。
youtu.be
統計応用「医薬生物学」のヤマ場である生存時間解析についてわかりやすく解説してあります。これ1本見れば生存時間解析については大体わかると思います。
参考になるサイト
世の中には非常に賢い方々がたくさんいらっしゃって合格に役立つ情報をまとめてくださってます。巨人の肩には素直に乗るべきです。巨人の肩キモチェ〜〜〜〜〜〜〜〜
全部ブックマークしておきましょう。このブログも。
バナナでもわかる話
www.bananarian.net
僕はバナナなのですが、本当にわかりました。この方の「統計検定対策問題集」という記事は全て解いておくと良いです。要は各種確率分布の期待値や分散の導出まとめなのですが、本当によく出ます。コレ全部自力で出来るようにすると統計数理の過去問はほとんど解けるようになります。
DataArts
www.data-arts.jp
2014~2017の過去問とその解答が載っています。良いの?
mi-chan-nel.com
医薬生物学の過去問を解説しているという点で有用です。選択した方はぜひ!!!
ちなみに、ここで紹介した以外にも有用な対策記事はたくさんあるので、いろいろ探してみて自分に合うやつを見つけてみましょう!
その他のTips
もう少し具体的なコツを箇条書きにします。
- 各種検定と、そのときに使う統計量・分布はひと通り導出しておく。
- 積分するときは部分積分なんて時間のかかることはやらないで、いきなり原始関数を求められるようにしておく。(いわゆる瞬間部分積分法)
- 統計応用は共通問題が簡単なことが多いので基本的にこれから手をつけると良い。
- 統計応用に関してはヤマを張って勉強するのが大切で、医薬生物学ならカプランマイヤー、検査精度、ノンパラメトリック検定あたりをしっかり押さえておけば、共通問題と合わせて戦いにはなる。
- 2014と2015のセットは難易度がイカレているので、あまりのめり込まないようにする。むしろ、傾向の近い2016~2019を一問でも多く完璧にするのが大切。
Appendix 1 統計数理過去問早見表
自分で最後まで解けるようにしたやつに限って列挙してみました。難易度はあくまで僕の肌感覚ですが
A: 完答狙える
B: 半分以上は解きたい
C: 部分点狙いかな
D: キツいっス(笑)
って感じです。
☆マークつけてあるやつをひと通り完答出来る様にすると必要最低限の知識や技法は身につくと思います。過去問は出来る限りやるべきですが、時間がなくて優先順位をつけざるを得ない方はぜひ参考にしてみてください。
統計数理
年度 | 大問 | オススメ | 難易度 | 学び取りたいテーマ | コメント |
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2019 | 1 | ☆ | A | 二項分布、モーメント母関数 | 後半は高校数学。 |
2 | ☆ | A | 畳み込み法 | 非常に基礎的です。 | |
3 | ☆ | A | 一様分布の十分統計量、フィッシャーネイマンの分解定理 | 一様分布の十分統計量が最大値であることは頻出! | |
4 | ☆ | A | 過誤の定義、最強力検定 | 最強力検定はややレアです。 | |
2018 | 1 | ☆ | B | 不偏分散の計算、偏差平方和の分布、ガンマ関数の計算、デルタ法 | 後半は不慣れだと少し厳しいですが、本番までには確実に解けるようにする必要があります。 |
2 | ☆ | B | 確率収束、デルタ法 | 最後の設問はかなり厳しいと思います。 | |
3 | ☆ | B | 二項分布、最尤法 | 後半になるにつれて計算が激しいですが、やっていることは単純です。 | |
5 | ☆ | B | 累積確率関数 | 累積確率関数から確率密度関数を求めるのは常套手段です。[3]では分散を直接計算するのが珍しい。 | |
2017 | 1 | ☆ | B | 歪度、3次4次モーメントの計算、最尤法 | 本番で類題が出ました。計算はつらいですが、やっておいて良かった! |
2 | A | 一様分布の十分統計量、フィッシャーネイマンの分解定理 | 2019大問2の復習にどうぞ | ||
3 | ☆ | A | 二項分布とポアソン分布、キュムラント母関数 | ポアソン分布の性質をまとめて確認できる良問です。λ→∞は経験がないとつらい。 | |
4 | ☆ | A | 2変量正規分布の条件付き期待値、分散 | 公式の解答がイマイチです。 | |
5 | B | 累積確率関数からの確率密度関数、畳み込み法 | 最後の設問は相当厳しいし類題もないので余裕がなければスルーでOK。 | ||
2016 | 1 | ☆ | A | 正規分布のモーメント母関数、フィッシャー情報量 | 正規分布のモーメント母関数は導出できるようにしておいた方が良いです。 |
2 | ☆ | A | ガンマ関数の計算、モーメント母関数 | モーメント母関数を比較して分布を同定するパターンも知っておきましょう。 | |
3 | B | シュワルツの不等式 | 最後の最後が狂ってます。2まではボーナス。 | ||
4 | A | 正規分布の扱い | 本番だったらラッキー問題ですが、学びは特にありません。 | ||
2015 | 1 | B | 正規分布のモーメント母関数 | 最後の設問はかなりつらいです。 | |
2 | A | ☆ | 検出力、最強力検定 | 検出力の計算は苦手な人が多いと思われますが、慣れておくべきです。 | |
3 | C | 正規方程式 | 逆行列の計算が大変です。☆はつけていませんが、正規方程式は知っておくべきでしょう。 | ||
2014 | 1 | A | 一様分布 | 鬼セットの2014年唯一の癒しです。 | |
2013 | 1 | ☆ | A | 一葉分布の期待値・分散、独立で確率変数の変数変換 | XとYは独立でないため畳み込みは使いづらいという例です。 |
2012 | 2 | ☆ | B | ガンマ分布とベータ分布の関係 | 変数変換の方法がキモです。ぜひ一度は経験しておきたい問題ですね。 |
3 | A | 指数分布、最尤法、フィッシャー情報量、デルタ法 | 基本的手法の詰まった良問ですが、新しいやつから解いていると今更感があります。復習用に。 |
Appendix 2 統計応用(医薬生物学)過去問早見表
難易度の表記はAppendix 1と同じです。
年度 | 大問 | オススメ | 難易度 | 学び取りたいテーマ | コメント |
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2019 | 1 | ☆ | B | カプランマイヤー曲線 | 積分パワーがかなり求められます。 |
4 | ☆ | A | ノンパラメトリック検定 | 算数です。 | |
2018 | 1 | B | ☆ | 漸近分散 | 統計数理っぽいです。 |
3 | A | ROC曲線 | ふつう、横軸は1-特異度のことが多い気がしますけどね。 | ||
5 | A | 混合正規分布 | かなり計算がタフです。 | ||
2017 | 1 | ☆ | B | 生存時間解析 | 生存時間解析の基本が詰まっています。 |
2016 | 1 | ☆ | A | ノンパラメトリック検定 | 算数です。 |
3 | ☆ | B | ログランク検定 | ほとんどノーヒントなのが厳しいと思います。 | |
4 | A | 対数正規分布 | 統計数理みたいな問題です。 | ||
5 | ☆ | B | 母平均の差の検定 | 母平均の差の検定は様々なパターンをおさえておきたいです。 | |
2014 | 2 | ☆ | A | 平均への回帰 | 飲み会のネタで話せそうなトピックです。 |
3 | ☆ | B | 検査精度、AUC | 検査精度は本番でも出ました。計算が簡単ですし、分野としても大切なので必ず押さえておきたいです。 | |
4 | ☆ | A | カプランマイヤー曲線 | 打ち切りがある場合の最尤推定は頻出です。 | |
2013 | 2 | ☆ | A | 漸近分散の導出 | 2018の問1で与えられていたものの導出です。 |
2012 | 3 | ☆ | A | ノンパラメトリック検定 | これまでに挙げたノンパラメトリック検定の3題と準1のテキストを抑えればこの分野は十分です。 |